純粋に雑文

色々なことに関する雑文です。

『学問のすゝめ』から考える不正事件

大企業の不正問題が続いている印象がある。三菱自動車では開発部門の幹部が部下に燃費目標達成を厳命したそうだ。厳しい目標を目指すのは、企業活動は競争であることを考えると、当然と思える。

 

では何がいけないのか。上下間での目標に対する合意が十分に成されていないということではないか。とりわけ下の者が上の者に遠慮して意見を言えていないということだろう。こういうことを考えて思い出すのは、『学問のすゝめ』の第三編の「一身独立して一国独立すること」の件である。

 

 ここで福澤は「独立の気力なき者は、国を思ふこと深切ならず」と言う。深切とは、深く切実なことだそうだ(講談社学術文庫版より)。国を会社に置き換えると、独立心の無い者は会社のことを深く切実に考えないということだろう。言うべきことを言うだけの独立心を皆が持たないと結局は誰も真剣に考えることがなくなり、その企業はダメになっていくのではないだろうか。今起きている不正問題でも、上に逆らってまっとうなことを言える勇気(独立心)があれば、このような大問題にはならなかっただろう。

 

若冲展に行く

5/21(土)の午後に見てきた。予想はしていたが、大変な混雑である。人人人・・・。14時半時点で140分待ちの表示。

 

jakuchu2016.jp

券を買ってから並べとのことで買ったらもうこれは並ぶしかない。都美術館のエスカレータ手前に出ていた臨時の券売所近くの自販機でお茶を買って準備万端。しかし最後尾までたどり着くのがこれまた手間であった。一番後ろは都美術館をぐるっと回ったところ。日は出ていたが、上野公園の緑は気持ちよく、日蔭はそれほど暑くないため、それほど並ぶのは苦ではなかった。100分ほど並んでようやく展示室にたどり着く。

 

若冲は何度か作品を見たことはあったが、今回見た感想として以下三点挙げられる。

  • 題材の面白さ
  • 色彩の豊かさ
  • 画の精密さ

題材の面白さは野菜を扱った「果蔬涅槃図」に良く表れていると思うし、色彩の豊かさは多くの作品が示すとおりである。画の精密さも描いた鶏や植物を見るとよく分かる。ただ、精密に描いているからと言って鶏はあたかも生きているようかと思うとそうではなく、リアルさに欠けるというのが正直な感想である。むしろ精密に書けば書くほど、精巧な鶏の作りものに見える。花などの植物はこの精巧さに引き付けられるのは、やはり植物は動かないからか。

 

100分待った甲斐があったかどうかというと待って良かった。若冲の作品は機会があればまた見たい。

 

果蔬涅槃図 文化遺産オンライン

 

 

 

 

5/6の歌舞伎座

 5/6(金)に幕見で観劇。

楼門五三桐、勢獅子音羽花籠、三人吉三巴白浪を見た。

楼門五三桐では菊吉二人の対決だが、両人とも元気が少しないのが気がかりであった。とはいえ、吉右衛門の凄味にはいつもながら感心である。

三人吉三巴白浪は大川端庚申塚の場であったが、お嬢の菊之助の進境著しい印象。菊五郎吉右衛門の世代がいなくなったら、歌舞伎に行かなくなるのではないかと思っていたが、また歌舞伎に行きたいと思わせるものが菊之助にはあった。

 

一幕見席について:歌舞伎座-歌舞伎・演劇|松竹株式会社