純粋に雑文

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『学問のすゝめ』から考える不正事件

大企業の不正問題が続いている印象がある。三菱自動車では開発部門の幹部が部下に燃費目標達成を厳命したそうだ。厳しい目標を目指すのは、企業活動は競争であることを考えると、当然と思える。

 

では何がいけないのか。上下間での目標に対する合意が十分に成されていないということではないか。とりわけ下の者が上の者に遠慮して意見を言えていないということだろう。こういうことを考えて思い出すのは、『学問のすゝめ』の第三編の「一身独立して一国独立すること」の件である。

 

 ここで福澤は「独立の気力なき者は、国を思ふこと深切ならず」と言う。深切とは、深く切実なことだそうだ(講談社学術文庫版より)。国を会社に置き換えると、独立心の無い者は会社のことを深く切実に考えないということだろう。言うべきことを言うだけの独立心を皆が持たないと結局は誰も真剣に考えることがなくなり、その企業はダメになっていくのではないだろうか。今起きている不正問題でも、上に逆らってまっとうなことを言える勇気(独立心)があれば、このような大問題にはならなかっただろう。